温度による物質の状態の変化
物質は温度によってその性質を大きく変えます。たとえば水の場合、0度より低いと氷に、100度より高いと気体になります。
このように物質が温度によって固体、液体、気体となることを、物質の三態と呼んでいます。
2017年駒場東邦の理科では、この三態に関する問題が出題されました。
問題 やかんでお湯をわかすとやかんの口から湯気が出てきますが、よく見ると、やかんの口のすぐ近くは透明に、その先は白くなって見えます。この透明から白くなる現象と同じ理由で起こる現象と考えられるものを、次のア〜カから1つ選び、記号で答えなさい。
ア 雨が降ってできた水たまりが、しばらくするとなくなっている。
イ 洗濯物が乾く。
ウ 氷に食塩を加えると、温度が低くなる。
エ 冬の室内で窓ガラスが曇ってくる。
オ ドライアイスを空気中に置いておくと、しだいにに小さくなり、やがてなくなってしまう。
カ 食塩水を加熱していくと、白い固体が見られるようになる。
解説動画
解説動画です。
この問題のポイント
今回の問題では、やかんによって温められた水が水蒸気、すなわち気体の状態になり、それが空気によって冷やされ、再び液体に戻る現象を聞かれています。
したがって答えは、エの「冬の室内で窓ガラスが曇ってくる」になります。空気中にある水蒸気が、つめたい窓ガラスにふれることで液体になっているのですね。
やかんから勢いよく吹き出ている白い煙をみて、わたしたちはあれが水蒸気なのだと錯覚しがちです。実際には水蒸気は無色のため、目で見ることができません。あの煙の正体は、透明な水蒸気が冷やされて水の状態に戻っているに過ぎないのです。
したがって透明な部分の水蒸気は、100度以上ということになります。目に見えている煙の部分よりも、目に見えない水蒸気のほうが温度は高いということになりますね。ここも盲点となりますので、しっかりとおさえておきましょう。