慣性の法則と浮力の組み合わせ問題
電車にのっているとき、急ブレーキがかかると体はどちらの方に動くでしょうか?
前のめりになる、が正解ですね。
これは、動いている物体は動き続けようとする性質があるからです。これを「慣性の法則」と呼びます。
2017年麻布中学校の理科ではこの慣性の法則に加えて、浮力に関する問題が出題されました。
どんぶりと水そうをたおれないように台車に固定し、どんぶりにはピンポン玉を、水そうには水を7分目程度入れました。

(中略)次に、ブレーキをかけ続けると、しばらくして台車は止まりました。
問7 ブレーキをかけている間のどんぶりの中のピンポン玉、水そうの水面のおおよその様子を、回答らんの図中にかきなさい。

問8 糸の一方にピンポン玉をつけ、もう一方を水そうの底に固定しました。(中略)この水そうを台車に固定し、同じ実験をおこなったとき、ブレーキをかけている間の水そうの様子はどうなりますか。水面と糸、球を、解答らんにかきなさい。

解説動画
まず問7の解説です。
続いて問8の解説です。
この問題のポイント
慣性の法則とは要するに、止まっているものは止まり続けようとし、動いているものは動き続けようとする、という性質です。
慣性の法則を一番簡単に感じることができるのは、冒頭でも書いたように電車や車に乗っているときでしょう。実際に自分の体で感じることができると、物理法則も身近なものとして捉えることができます。
このことを踏まえると、問7を解くことができますね。ブレーキをかけているので、物体は前のめりに動きます。
さて問題は問8です。水中に浮いているピンポン玉も同様に、前のめりに動くのでしょうか?
実は正解はそれとは逆で、ピンポン玉は後ろ側に倒れるように動きます。
この問題は結構難しいと思います。大人でも正確に答えられない人が多いのではないでしょうか?
ピンポン玉にももちろん慣性の法則は働きますので、前側に動こうとする力は働きます。
しかし、この力よりも大きな力がピンポン玉を後ろ側に倒そうと働きます。それが浮力です。
浮力の働き方については解説動画で説明したとおりですが、要は水が前方の方にかたよっているため、浮力は後ろ側に働くのです。
浮力ってそもそもなんで発生するのだろう、といったところから考えてみても良いと思います。なかなか歯ごたえのある問題でした。